城南市民カレッジ人権講座 「人付き合いが苦手」と言われる青年たちから教えてもらったこと NEW

参加講座:城南市民カレッジ人権講座 「人付き合いが苦手」と言われる青年たちから教えてもらったこと -19年間にわたるTRG(青年期発達障がい者対人交流支援グループ)の実践より-

講師:吉川昌子さん(心理学博士)

日時:2026年6月13日(土)14:00~15:30

主催:福岡市立城南市民センター、中村学園大学発達支援センター

共催:福岡市城南区役所

会場:福岡市立城南市民センター

キーワード:人権、発達障がい 、人間関係

レポート筆者:福岡市役所/市民局/生涯学習課/主任社会教育主事 永田
 

 

 6月13日、城南市民カレッジ人権講座「『人付き合いが苦手』と言われる青年たちから教えてもらったこと」を受講しました。

 

講師の吉川昌子さん

 吉川さんは、発達障がいのある青年たちとの交流支援グループ(TRG)の活動を19年間続けてこられた臨床心理士でいらっしゃいます。

 

 2007年に学校教育法が改正され、発達障がいのある児童の学習支援が進んできた一方で、その子どもたちが思春期に入ると、友だち関係・人づきあいに困難が生じることがあります。そこで、吉川さんは、青年期の発達障がい者の社会性を高める支援として、「ロール・プレイングの技法を活用した教育・研修(対人交流支援)や、動作療法を主とする心理支援」に携わってこられたのです。

 

 

 

 発達障がいのある青年の中には、過去の失敗体験などから集団活動に苦手意識を持つ人も少なくないそうです。いろいろな役割を演じるロール・プレイや台本のない即興劇によって、「他者の行動に注目する」「自分の行動を振り返る」「場に適応した行動を考える」ことを体験でき、自己表現力と自己肯定感を高める機会になります。

 

 講演のタイトルにあるとおり、吉川さんご自身が青年たちとの関わりの中で学び続けてきたと語っていらっしゃったのが印象的でした。中でも、「こちらの『当たり前』は相手に通じない」「相手に応じた伝え方(多様性の認識)が必要」という話に考えさせられました。

 

 例えば、「みんなで輪になりましょう」という呼びかけだけでは、どう動けばよいかわからない子どもたちがいます。そういった場合は、「両手を広げて隣の人と手をつないでみて」と具体的に伝えると、大きな輪ができるのだそうです。

 

 

 私たちは日常の中で「こう伝えたらこう動いてもらえるだろう」、時には「言わなくても分かってもらえるのでは」などと考えてしまいがちです。しかし、こちらが思ったとおりに相手に伝わっているとは限りません。それは、発達障がいがある人との関わりに限らず、世代や立場、経験の違う人たちと接するときにも起こり得ることだと感じます。

 

 だから、地域活動や、家庭生活の中でも、「話が通じない」「コミュニケーションが難しい」と嘆いたり、期待と結果の乖離に勝手に落ち込んでしまったりするのではなく、「どう言えば伝わるのか」「どのように状況を整えたらうまくいきそうか」と考えることが大切なのでしょう(ベクトルを自分に向ける方が健全)。

 

写真提供=城南市民センター

 質疑応答で、「今日の話は、障がいのあるなしではなく、人間関係の根幹のところを話していただいた」と感想を述べたかたがいらっしゃいました。まったく同感です。発達障がいがテーマの人権講座で自分に理解できるかなと心配もありましたが、振り返ってみると、この日の学びは障がい理解にとどまらず、自分自身の人との関わり方を見つめ直す機会になりました。