「人権講座~製糸工場の女性たち~」を開催しました NEW

現在、SILKLINE(シルクライン)代表、シルクキュレーター(蚕糸絹研究家)として活動中の、林久美子さんをお迎えして「人権講座~製糸工場の女性たち~」を開催しました。林さんは、長年にわたり蚕糸業に関わる方から聞き取り調査や、養蚕・製糸・染織工程の研究を重ねてこられたので、座学だけではなく、実際に繭から糸を紡ぐ実演をされ参加者の皆さんは、働く女性たちが日々行っていた作業を肌で感じることができたのではないでしょうか。当時の製糸工場で働く女性たちは、たしかに工場での仕事は長時間労働で厳しいものでしたが、安定した食事や収入を得る手段であり、読み書きや裁縫といった技能を身につける機会でもありました。また、寮生活を通じて仲間との絆を深め、厳しい労働の中にも楽しみを見出していた様子が、見せていただいた笑顔の集合写真から伝わってきます。彼女たちの生活は、単に「かわいそう」なものでもなければ、ただ「幸せ」なものでもなく、光と影の両方の側面があったのではないでしょうか。今回、日本の近代化を支えた製糸工場で働く女性たちの歴史をたどる中で、私たちが日々生きる上で欠かせない「人権」というテーマを、改めて深く考える機会になりました。「かわいそうな女工さん」という一面だけでなく、自らの力で時代を築き、日本の未来を支えた彼女たちの強さや誇り。そして、林さんの実演を通して、彼女たちの労働の重みや技術の高さを肌で感じることができました。この講座が、働くことの尊さ、そして誰もが人として尊重される社会の重要性について、考えるきっかけとなれば幸いです。