西区・暮らしの中の人権「アニメで知ろう!難聴講座」 NEW

参加講座:暮らしの中の人権「アニメで知ろう!難聴講座」

講師:一般社団法人言葉のかけはし 代表理事 岩尾至和さん

日時:2026年6月8日(月)14:00~16:00

主催:福岡市立西市民センター

共催:福岡市西区役所

会場:福岡市立西市民センター

キーワード:人権、難聴、コミュニケーション、合理的配慮

レポート筆者:福岡市役所/市民局/生涯学習課/主任社会教育主事 永田
 

 

 西市民センターで開催された人権講座「アニメで知ろう!難聴講座」を聴講しました。

 講師は一般社団法人言葉のかけはし代表理事の岩尾至和さんです。

岩尾至和さん(一般社団法人言葉のかけはし代表理事)

 講座では、岩尾さんがクラウドファンディングで制作したアニメ「なんちょうなんなん」が紹介され、難聴者の暮らしやコミュニケーションについて理解を深めました。

YouTube「なんちょうなんなん」 https://youtu.be/aZAYo4qDR38

 

 

 特に印象に残った3つの話を紹介します。

 

 

メガネはかけたら見える、でも補聴器は…

 私は、補聴器を付けたらメガネと同じようにすぐ効果があるものかと思っていました。しかし実際にはそうではなく、補聴器を付けても「聞こえる人の音の大きさまでは聞こえない」、「音がはっきり聞こえない種類の難聴(感音難聴)では、はっきりさせることはできない」ものなのだそうです。手術が必要な人工内耳でも「機械音」のように聞こえてしまうのだそう。「なんちょうなんなん」にも「全部聴こえているわけではないんだ」というフレーズが出てきます。

 この認識違いがもたらす行き違い(あいつ補聴器していて聞こえているはずなのに無視した、などといった誤解)も少なくないようで、岩尾さんは、補聴器を付けている人にも、口の動きを見せたり、前に回って話したりする気配りが大事なんですと強調されました。

 また、しゃべれる人だと「それだけしゃべるので聞こえてもいるんだろう」と思われがちですが、話せることと聞こえることは別なんです、という説明もありました。

 

プラス1コミュニケーション

 岩尾さんは、難聴者とのコミュニケーションのコツとして「プラス1コミュニケーション」という考え方を紹介してくれました。

・目を見てはっきり
・ジェスチャーを添える
・表情を添えて
・文字や絵も使ってみる
・「『くだものの』りんごだよ」などと説明を添える
・「今から○○の話をします」と先にテーマを示す
・一人ずつ話す(複数人で話をしている場合)
・手話、指文字を使う
・ITツールを使う

 「伝わるだろう」ではなく、「伝わるようにもう一つ工夫する」。その気持ちをもつことが、相手との距離を縮めることにつながるのだなと思いました。

 

「配慮」ではなく「調整」を

 障害者基本法で社会的障壁の除去に関して示された「合理的な配慮」という言葉は、英語では “Reasonable  Accommodation” であり、「思いやりで助けてあげる」というよりも「誰もが同じスタートラインに立てるよう環境を調整すること」という権利保障のニュアンスが強い言葉なのだそうです。

 岩尾さんは、「配慮」という言葉に含まれる、どこか上下関係を感じさせる響きや、する側は「してあげる」、される側は「申し訳ない」と感じてしまうことがある状況を指摘しつつ、「配慮ではなく調整という考え方がしっくりくる」という話をされました。

 難聴者が特別扱いを求めているのではなく、同じスタートラインに立つために必要な調整を求めている。その考え方には納得できますし、先ほど紹介したプラス1コミュニケーションのように、わたしにもできることがあるんだなと感じました。

 

 

 

 相手に伝わるよう工夫すること、思いやりをもつこと―――そんな小さな心がけは、難聴者とのコミュニケーションに限らず、誰もが暮らしやすい社会につながっているはずです。

 

 難聴について考えることは、人権を特別な話としてではなく、日々のコミュニケーションの文脈で考える時間となりました。